病院の行方

病院の行方雑学

先日、病院に行ったのでその事を。

駅前のとある大学付属病院に、紹介状を持って、事前に予約して行きました。初診外来で、検査があるので、1時間前に来てくださいとのこと。

予約が10時だったので、9時前に到着。車で行ったのが最初のつまずき。朝9時前から長蛇の列。車誘導の係りの人に聞けば、あと40分は待つとの事。1時間千円らしい。他に駐車場ない?と聞けば、200メートル先に民間の駐車場が、200円高いとのこと。迷わず民間に入れて、9時に病院着。

まず初診外来受付に案内されました。ここも満員、20坪の待合室にすし詰め状態。整理券93番。多分100人以上はいます。初診は、ここで、まずは、病院のカードを作らないといけないらしい。待つこと1時間強。やっと、93番が呼び出され、保険証と紹介状を提出。これでやっと受付だけが完了。

さらに、これから登録、診察券作りますからお待ちくださいとのこと。名前呼びますから、周辺でお待ちくださいと言われ、また待ち。この周辺にも50名の待ちが。予約の1時間前に行くも、既に予約時間まじか。予約時間を気にして係りの人に聞くと、診療と連携しているので心配しないで下さいとこの事。初診だから仕方ないと諦め、さらにそこで1時間。ざっと見ても、この狭い待合室、まさに満杯で、立っていて気分の悪くなる人も。

やっと名前を呼ばれたのが、11時過ぎ。2時間経って、病院のカードが出来上がり、やっと、診療科へ、地図と一緒に案内されました。もうお昼が近づいて、午前中の診療終了が心配になりました。さて、診療を受ける科に地図を見て行くと、そこでも各診療室の前の長椅子に沢山の人。

カードとファイルを出して、また待ち。やっと、声がかかったと思いきや、まずは、検査に行ってください。えっ これって、9時からやりますからって言われた事?もう既に午後1時。結局午後2時近くになって、先生と初対面。多分、この先生も朝8時半から、ぶっ通しで、お昼も食べていないんだろうと、大変ですねーと思いつつ。私の初診、10分程度の話しで今日は終わり。結局は、また来週、検査に来てくださいとの事でした。さらに、診療の予約は3週間後。病院に5時間いて、本当に病気になりそうです。笑話にならないですよね。これが、東京の大学病院の実情です。

身内の付き添いで、別の駅前の大学病院に行っていますが、確か初診の時は、その病院も検査も入れて、8時間いた事があります。その後の診療は、全て予約なのですが、その予約が1時間に7人-10人とっています。1人の人に20分掛かれば、どんどん、時間がおして行きます。午前中からおし、先生、お昼もぶっ続けで患者さん診て、日によっては、午前の予約の患者さんを午後も診ています。 

午後の予約もずれる訳で、予約システムなのに、4時間半待った事もあり、患者も付き添いもぐったりです。この病院は、朝、6時に整理券が出るのですが、その整理券の1番2番を取って行っても、1-2時間待ちはざら。それじゃ、「予約」の意味ないじゃないと憤慨しながらも、仕方なく思っていました。

ところが、最近、別練に「予約診療」棟があることを先生から教えられました。同じ大学病院内なのですが、この診療棟、予約料金が1万円かかります。この予約診療棟に試しに予約をしてみました。渡り廊下の先にある棟の中。何か木造の分厚い扉があくと、何かゆったりした空間が。ちょうど、空港のビジネス、ファーストラウンジといった感じ。全然ざわざわ感がありません。素晴らしいのは、1時の予約に、5分前に診療室の前に案内され、ほとんど時間通りに診療が始まったことです。しかも、会計もこの診療館で完結。すべて、別世界です。

さて、この2つの都内の大学病院、日本人なら誰でも知っている有名病院です。なぜ、混むのか?有名で、良い先生がいるから?イメージ?もう診療可能人数をはるかに超える人々が毎日押しかけているのです。理由は、そう、誰でも、行けるから混むのです。日本は資本主義国家と習いました。こと病院については、社会主義、共産主義と一緒です。主義の良い悪いを論じるつもりはありません。ただ、これらの病院、現状では、患者も医師も、そして病院経営も3者が全てやっていけません。資本主義的発想であれば、良い病院は、高い料金を取れるはずで、その収益を病院経営に反映させ、人気の医師は別途予約料金を取り、医師の給料に反映させ、患者は、自分の求めるサービスをそれなりの価格で買う、そんな当たり前の構図でないと将来がないと思います。

外食に行く場面を想像して下さい。今日は、給料日だから、豪華に行こうとか、ちょっとお財布苦しいから、吉野家で我慢とか、価格の割に美味しいから行くファミレスとか、ここでは、払う金額と得るものがバランスしています。家具を買いにいく時、長く使う家具は、高いイタリア製でも買う人がいる一方、価格優先で、ニトリで買う人もいます。そんな選択肢が消費者に与えられる必然的な事がどういうわけか、医療の世界にない 国民全てが、平等に医療を受けられる云々の綺麗事の裏には、延々と待たされる患者、毎日お昼も食べないでがんばっている医師達、病院経営の赤字、さらに国の医療負担赤字、これって絶対もたないと思いませんか。

バンコクの病院

先日、バンコクの日本人駐在員御用達のスクンビットにあるサミティベート病院に初診で行きました。昨日行った診療科と同じ内容です。外来初診受付へ。予約なし。飛び込み。この病院、日本人専用窓口があります。そこで日本語の堪能な専用スタッフが対応。病院カードを作って、必要な診療窓口の予約、看護師手配、通訳手配などテキパキやってくれます。その間、約20分。そして、全ての検査の予約が直ぐに入れられ、検査結果が出てから、担当の医師との面談。薬も院内処方で、会計の待ち時間もほぼなし。病院を訪れてから終わるまで、3時間強。日本の比ではないくらい、超早いです。この差は、何なのでしょうか?

このバンコクの私立病院サミティベートの会計は、薬、診療所見、検査結果CDなど付いて、日本円で3万円程でした。これって、タイの庶民の物価感覚からすれば、30万円です。そう、この病院、タイの庶民感覚からすれば、高いのです。先生方は、皆、欧米の最新医療を学んだ優等生です。

この病院にある医療器械も、欧米の最新機材です。この病院の知り合いで美容外科の先生は、口コミで日本人の患者で予約いっぱいです。彼女は、去年までは、予約日週3日あったのに、今年からは週2日になっています。どうしたのと、先生に話を聞くと、週2日の仕事で充分稼げるから、それで良いとの事。ちなみに、あと週1日は、政府のボランティアをして、残りは、ヨガだとかの趣味の時間だそうです。

人生を楽しまなくてはと余裕の毎日です。この病院、サービスも日本の病院と提携し、その見えないサービス精神も学ぼうとしています。病院経営もお客様ありきのサービス産業なのです。日本人の心がわかり接客が出来る医師の予約がいっぱいなのも、うなずけます。この病院には、日本人ばかりか、世界中の富裕層の人が訪れます。そして、この病院なんと、株式上場していて、IR部門とかもちゃんとあります。

医療現場にも、資本主義的な考え、メカニズムが働いています。アジアで病気になったら、タイかシンガポールの病院へ行けというのが、今、アジア圏の常識になっています。日本人以外、誰もガラパゴス化した日本の病院を目指しません。さて、日本の病院、医師、患者は、将来どの方向へ向かって行くのでしょうか?