「CRS」を知る!!その1「FATCA」とは

「FATCA」とは共通報告基準(CRS)

今朝のヤフーニュースで「CRS」という言葉を使った記事が載っていました。昨年、国税は、海外の口座情報、55万件を入手したそうです。

海外に資産をお持ちの方はもちろん、これから資産を持とうと考えているみなさんは必ず知っておかなければならないことがいくつかあります。
その中で、ここ数年話題になっているのが「CRS」・・・共通報告基準(Common Reporting Standard)ではないでしょうか?
そして、その元になるFATCA(ファトカ)・・・外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)の二つは「海外投資」の意味を考える上での基礎知識となりますので簡単にまとめてみました。

FATCAとは

FATCAとは、2010年に米国で成立された外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)の略称で、米国政府が外国(米国以外の国を指す)の金融機関に対して、米国人の口座情報をIRS(内国歳入庁)に報告するように義務付ける法律のこと。

つまり、米国政府はFATCAの導入により米国人の正確な国外所得を入手できる制度を構築をし、米国人富裕層の租税回避(課税逃れ)を防止しようとしたのです。

そもそもの始まりは、2008年に米国が秘密主義で知られるスイスの金融機関の扉を開けさせたからと言われています。
大手プライベートバンクのUBS銀行は、米国人の脱税容疑に関連して米国政府から顧客情報の開示を迫られ、紆余曲折の結果この要求に応じることになりました。
さらにスイスの金融機関は米国政府から脱税幇助を疑われ、スイス政府は租税条約の改正まで行ったのです。
このUBS銀行の脱税幇助事件に端を発し、米国で制定されたのがFATCAです。

FATCAの対象となるのは、個人だけではなく、もちろん法人も含まれます。
また、米国人でなくても米国で納税義務がある人も含まれるため、日本人(日本国籍を有する人)であっても米国に居住する人は対象となる場合もあります。
何はともあれ、日本においてFATCAの影響を受けるのは、多大な事務とコストを負担する金融機関とその関係者。

なぜ、米国外の金融機関がFATCAに従うかというと、FATCAに協力しない米国外の金融機関には30%の源泉徴収義務が課せられるから。

30%?? と思う方もいらっしゃると思いますが・・・

30%です。

この源泉徴収義務を回避するために、米国外の金融機関は米国政府とFFI( Foreign Financial Institution)契約を締結することになるのです。

FACTAは日本の金融機関に多大な影響を及ぼします。

ですが、米国に納税義務のない日本人富裕層にとっては、たとえ国外に財産を保有していても影響はなかったのです。

しかし、迷惑なことに富裕層の租税回避を防止することは、なぜか世界各国の共通の問題意識。

そして、このFATCA導入の流れを受けてOECDは2014年に金融口座情報の自動的交換に関する共通報告基準(CRS)を制定したのです。

次回はCRSについてです。